こんにちは、あーとさんぽぽん(Artsanpopon)です

12/24まで国立国際美術館にて開催中の、「態度が形になるとき ―安齊重男による日本の70年代美術―」に行ってきました。

本展は、1970年から安齊氏が日本の現代美術の動向を取り続けた記録写真と、70年代のアーティストの作品(国立国際美術館コレクション)も合わせて見ることができる展示です。

安齊氏と交友関係のあった、李禹煥、吉田克朗、関根伸夫、菅木志雄など後に「もの派」と呼ばれた作家たちの作品を撮影した 写真からは、今となっては著名なアーティストの若かりし頃の姿や、展覧会の会期中にしか存在しなかったインスタレーション、今は現存しない画廊、今は亡きアーティストや評論家たちの姿を垣間見ることができます。何より、写真に写っているアーティストの顔の自然な表情が彼らの関係性の良さを物語っていると思いました。

安齊氏が撮影を本格化したのは、1970年5月に東京都美術館で開催された「第 10 回日本国際美術展」いわゆる「東京ビエンナーレ‘70」の際に、参加アーティストたちの助手のような役割を担いながら、記録写真を撮り始めた頃からだそうです。

話は少し逸れますが、「東京ビエンナーレ‘70」は、総合的な国際美術展を目指し、コミッショナーを務めた中原佑介は、完成作品をそのまま展示するのではなく現場で制作する「臨場主義」を提起するという、時代を先取りした展示を行ったそうですが、 時代を先取りしたあまり、当時の観客のウケはあまり良くなかったようで、賛否両論が沸き起こったそうです。中原氏が参考にした当時の欧米のアートシーンの傾向として以下の三点があり、それらは今もなお考えられている内容ということで非常に興味深い展示だったことが想像できますね。

1. 急速に拡大しはじめたアート・マーケットへの反発
2. 完成したものより創造行為の過程を重要視する姿勢(プロセス・アート)3. 美術館や画廊から飛び出して自然や日常空間への侵出(オフ・ギャラリー)

本展を見終わった後、タイムスリップからしばらく抜け出せない感覚に襲われましたが、ふつふつとこみ上げてくるものがありました。何というか、ものすごく狭いスペースで懸命に自らの表現方法を模索しているアーティストたちの手探りな様子は、当たり前ですが、誰にでも若かりし時代はあったのだな、ということを思い出させてくれました。今となっては巨匠の若かりし頃を捉えたこれらの写真は歴史的に貴重だろうし、けどその当時生きていた彼らは目の前のことに一生懸命取り組んでいたんだろうな、なんて思いながら見ることができました。

当時のアーティストたちと近い存在であった安齊氏だったから捉えられたポートレイト写真からは当時の息遣いがきこえてくるようでした。

では、では 

態度が形になるとき ―安齊重男による日本の70年代美術―
会期:2017年10月28日(土)~12月24日(日) 
開館時間:10:00~17:00(ただし、金曜日・土曜日は20時まで開館)
休館日:月曜日(祝日を除く)
観覧料: 一般=430円 大学生=130円(※無料観覧日:11/3、11/4、11/18、11/19、12/2
会場:国立国際美術館 大阪府大阪市北区中之島4-2-55
公式サイト: http://www.nmao.go.jp/